2009年 07月 21日
P4の授業のまとめ -Game Theory |
ICA及びPE
以前のエントリー参照
Strategic Cost Management
P2で履修したManagerial Accountingとほぼ同じ趣旨の授業。企業の経済活動を正しく分析するには、正確にコストアロケーションを行うことが重要であるというのが大まかなTake Away
Game Theory
授業の中で一番面白かったのが、Net Work Externality、Tipping Pointに関連する事項である。というのも様々な社会現象に当てはまる理論だからである。身近な例を使って説明したいと思う。
僕らの学年の卒業旅行は、二転三転して結局チュニジアに行くことに決まったのだが、まさにその決定過程が、この理論通りだったのである。
当初はギリシャに行くという案が出されていた。この旅行は1000ユーロと値段が高く、ホテルの質もそれほど高くないようであるということが学生の間で広まっていた。この旅行が実施されるためには少なくとも100人のサインアップが必要であるということであった。卒業旅行の一番の目的は、できるだけ多くの人が参加し最後の時間を多くの人と過ごせるというとことであると思う。ギリシャ旅行の締切日は金曜日の午後12時であったが、午前10時ごろから、旅行を企画している学生から、「現在の登録は60人だ。あと40人集まれば旅行が開催される!!」というメールが来ていた。自分もそうであったのだが、ホテルの質があまり良くなさそうである、さらに値段が高いということを考えると、仮に100人以上の人が行くのならば、その時にサインアップしようと考えたのである。他の人も同様に考えると、サインアップする人が大幅に増えることはなく結局70人程度であったと記憶している。結局既定の人数に達せずギリシャ旅行はキャンセルされた。
その二週間後に代替案として、このチュニジア旅行が上がってきた。この旅行には最低決行人数の規定はなく、600ユーロと、ギリシャ旅行に比べれば安かったために、学生の評判が少し高かったようであった。チュニジア旅行の登録者は、当初は40名程度であった。僕は最初から申し込みをしたので、まあ40人は少ないが、卒業旅行がないよりはいいかと思っていた。すると翌日のメールで登録者が60人に増えたとの通知があった。その後三日程度で参加者は指数関数的に増加し、最終的に参加者は250人程度に膨れ上がったのである。
ここに見られる、登録者の増加の動きが正にゲーム理論で言うところのNet Work Externalityもしくは、Reaching Tipping pointということになる。ある人数に達するとその後爆発的に人数が増えるという現象がある。チュニジア旅行の場合、60人というのがTipping Pointで、それに達した時点で、旅行参加者が一挙に増加したのである。
もう少し理論を説明したいと思う。この理論で当てはめると、Y軸に”実際の旅行登録者人数”、X軸に、”他の人がこれだけ旅行に登録するだろうと予想する人数”を取る。例えば、実際の旅行の登録人数が10人のときに、登録するであろうと予測した人数が12人であったとする。すると、あれ、実際の登録人数の方が、僕が予測した人数よりすくないじゃん!ということになり、実際に登録する人数が減っていくのである。やがてこの旅行に登録する人数が減っていき、限りなく少ない人数になってしまうのである。これがギリシャ旅行の登録人数の変化で起こったことではないだろうか。旅行に登録した人は最終的には70人との報告であったが、多くの人が旅行に参加するであろうという理由で登録した人は、「最終的に70人しかいないんだ。なんだあ。100人は来ると思ったのに。じゃあ僕は旅行行くのやっぱり取り下げよう」という意思決定が働き、これがそのまま続くと、僕も僕もという声につながり、やがて、参加者の人数に関わらずギリシャが純粋に好きだという人しか旅行に参加しないことになってしまう。
一方、チュニジア旅行の場合、実際の旅行の登録者人数>予想された旅行の登録者人数 という関係が成り立ち、ギリシャ旅行の登録とはまったく逆の動きが発生して、わずか三日のうちに40人から250人まで増えたのである。
僕は、実はチュニジア旅行の主催者は、ギリシャ旅行の失敗の反省して、旅行の登録者人数の中途報告をかさ上げして報告したのではとひそかに思っているくらいである。多くの人が参加しますよ!って言っておけば、それ自体が新たな参加者を誘因する材料になるからである。お陰さまで多くの人が参加する非常に楽しい卒業旅行になったので、良かったのではあるが。
で、この理論はビジネスの世界でも応用されている。携帯携電話会社は0円で携帯端末を配っていることに学生時代に疑問を覚えていたのであるが、これもTipping pointの理論で説明がつく。携帯電話のユーザーは、どの携帯を使うかと考えたとき、どのようなサービスが受けられるのか、どんな機能があるのかなどを考えるが、一番の肝は、その携帯電話がどの程度普及していて、カバレッジが広くて、同機種同士で話すことによる安価な通話料金が達成できるのかという点である。そう考えると、携帯電話会社は、まずはマスユーザーを確保するために携帯電話を配りまくり、その数の大きさ自体が競合他社に対して優位に立つことを可能にするのである。携帯電話会社は通話料で稼ぎを上げるため、一度ユーザーを囲い込んでしまうと、中々機種の変更ができないということになってしまう。僕が大学に入学した当初、ほとんどの友人がドコモを使っていたのも、この理論で説明がつくのではないだろうか。
今後もしあなたが何からのパーティーの主催をする機会があり参加者が思ったほど集まっていない場合、この現象を逆手にとって、一か八かであるが、たとえば、実際は10人しか登録していないのに、”すでに100人が参加することになっています” と言ってしまうことで、参加者を劇的に増やすことができるかもしれない。(ちなみに、僕はこれやっています。先日もディナーの企画をした時に実際は4人くらいしか参加が決まっていなかったのに、友人を誘うさいに10人くらい来るよって言ってました。結局20人近く集まってしまい、席に困ったのですが。まあなんとかなりました。)
以前のエントリー参照
Strategic Cost Management
P2で履修したManagerial Accountingとほぼ同じ趣旨の授業。企業の経済活動を正しく分析するには、正確にコストアロケーションを行うことが重要であるというのが大まかなTake Away
Game Theory
授業の中で一番面白かったのが、Net Work Externality、Tipping Pointに関連する事項である。というのも様々な社会現象に当てはまる理論だからである。身近な例を使って説明したいと思う。
僕らの学年の卒業旅行は、二転三転して結局チュニジアに行くことに決まったのだが、まさにその決定過程が、この理論通りだったのである。
当初はギリシャに行くという案が出されていた。この旅行は1000ユーロと値段が高く、ホテルの質もそれほど高くないようであるということが学生の間で広まっていた。この旅行が実施されるためには少なくとも100人のサインアップが必要であるということであった。卒業旅行の一番の目的は、できるだけ多くの人が参加し最後の時間を多くの人と過ごせるというとことであると思う。ギリシャ旅行の締切日は金曜日の午後12時であったが、午前10時ごろから、旅行を企画している学生から、「現在の登録は60人だ。あと40人集まれば旅行が開催される!!」というメールが来ていた。自分もそうであったのだが、ホテルの質があまり良くなさそうである、さらに値段が高いということを考えると、仮に100人以上の人が行くのならば、その時にサインアップしようと考えたのである。他の人も同様に考えると、サインアップする人が大幅に増えることはなく結局70人程度であったと記憶している。結局既定の人数に達せずギリシャ旅行はキャンセルされた。
その二週間後に代替案として、このチュニジア旅行が上がってきた。この旅行には最低決行人数の規定はなく、600ユーロと、ギリシャ旅行に比べれば安かったために、学生の評判が少し高かったようであった。チュニジア旅行の登録者は、当初は40名程度であった。僕は最初から申し込みをしたので、まあ40人は少ないが、卒業旅行がないよりはいいかと思っていた。すると翌日のメールで登録者が60人に増えたとの通知があった。その後三日程度で参加者は指数関数的に増加し、最終的に参加者は250人程度に膨れ上がったのである。
ここに見られる、登録者の増加の動きが正にゲーム理論で言うところのNet Work Externalityもしくは、Reaching Tipping pointということになる。ある人数に達するとその後爆発的に人数が増えるという現象がある。チュニジア旅行の場合、60人というのがTipping Pointで、それに達した時点で、旅行参加者が一挙に増加したのである。
もう少し理論を説明したいと思う。この理論で当てはめると、Y軸に”実際の旅行登録者人数”、X軸に、”他の人がこれだけ旅行に登録するだろうと予想する人数”を取る。例えば、実際の旅行の登録人数が10人のときに、登録するであろうと予測した人数が12人であったとする。すると、あれ、実際の登録人数の方が、僕が予測した人数よりすくないじゃん!ということになり、実際に登録する人数が減っていくのである。やがてこの旅行に登録する人数が減っていき、限りなく少ない人数になってしまうのである。これがギリシャ旅行の登録人数の変化で起こったことではないだろうか。旅行に登録した人は最終的には70人との報告であったが、多くの人が旅行に参加するであろうという理由で登録した人は、「最終的に70人しかいないんだ。なんだあ。100人は来ると思ったのに。じゃあ僕は旅行行くのやっぱり取り下げよう」という意思決定が働き、これがそのまま続くと、僕も僕もという声につながり、やがて、参加者の人数に関わらずギリシャが純粋に好きだという人しか旅行に参加しないことになってしまう。
一方、チュニジア旅行の場合、実際の旅行の登録者人数>予想された旅行の登録者人数 という関係が成り立ち、ギリシャ旅行の登録とはまったく逆の動きが発生して、わずか三日のうちに40人から250人まで増えたのである。
僕は、実はチュニジア旅行の主催者は、ギリシャ旅行の失敗の反省して、旅行の登録者人数の中途報告をかさ上げして報告したのではとひそかに思っているくらいである。多くの人が参加しますよ!って言っておけば、それ自体が新たな参加者を誘因する材料になるからである。お陰さまで多くの人が参加する非常に楽しい卒業旅行になったので、良かったのではあるが。
で、この理論はビジネスの世界でも応用されている。携帯携電話会社は0円で携帯端末を配っていることに学生時代に疑問を覚えていたのであるが、これもTipping pointの理論で説明がつく。携帯電話のユーザーは、どの携帯を使うかと考えたとき、どのようなサービスが受けられるのか、どんな機能があるのかなどを考えるが、一番の肝は、その携帯電話がどの程度普及していて、カバレッジが広くて、同機種同士で話すことによる安価な通話料金が達成できるのかという点である。そう考えると、携帯電話会社は、まずはマスユーザーを確保するために携帯電話を配りまくり、その数の大きさ自体が競合他社に対して優位に立つことを可能にするのである。携帯電話会社は通話料で稼ぎを上げるため、一度ユーザーを囲い込んでしまうと、中々機種の変更ができないということになってしまう。僕が大学に入学した当初、ほとんどの友人がドコモを使っていたのも、この理論で説明がつくのではないだろうか。
今後もしあなたが何からのパーティーの主催をする機会があり参加者が思ったほど集まっていない場合、この現象を逆手にとって、一か八かであるが、たとえば、実際は10人しか登録していないのに、”すでに100人が参加することになっています” と言ってしまうことで、参加者を劇的に増やすことができるかもしれない。(ちなみに、僕はこれやっています。先日もディナーの企画をした時に実際は4人くらいしか参加が決まっていなかったのに、友人を誘うさいに10人くらい来るよって言ってました。結局20人近く集まってしまい、席に困ったのですが。まあなんとかなりました。)
by Insead_2009
| 2009-07-21 21:17